読書レビュー「生きてるだけで100点満点!」奥山佳恵/ダウン症児の母の葛藤や軌跡を飾らずにリアルに綴った、ママ達共感の1冊
息子が産まれてから2年間でダウン症関連の書籍を50冊以上読んだ僕が、
一つ一つレビューしていくこのコーナー!
今回は、ダウン症の子どもを産んだ女優の奥山佳恵さんが、
母の葛藤や、揺れ動きながらも前を向き、
タイトル通りに「生きてるだけで100点満点!」と笑顔で言えるまでになった母の軌跡を、
丁寧に、飾らずに、赤裸々に、リアルにつづったこの本を紹介!
「生きてるだけで100点満点!」奥山佳恵/ワニブックス(2015)
女優の奥山佳恵さんが、ダウン症児の次男・美良生(みらい)くんの誕生から
生後7か月までのことを綴った育児日記をベースに、ダウン症の子どもを産んだ母の葛藤、
そして揺れ動きながらも前を向けるようになった母の軌跡を綴った本書。
何より一番印象的だったのは、ダウン症の次男を産む前の、
長男の子育てで育児ノイローゼになりかけたすさまじい話だったりして…(汗)
オランダへようこそ
そしてダウン症のことをネット検索しているうちに辿り着いた、
自閉症の子をもつ外国の方のページ『オランダへようこそ』に
障がいを持った子の親になった気持ちを
「イタリアに行こうと思っていたらオランダに着いたような気持ち」
と書いてあったというエピソード。
何だか僕的にもしっくりいって印象に残った。
「イタリアに旅行に行くつもりですごく楽しみにガイドブックやイタリア語会話の本も買ったのに、
飛行機を降りてみたらそこはオランダだった。しかも引き返すことができない。
何で?私はイタリアに行きたかったのに…とすごく辛くて悲しんでばかりいたけど、
ふと周りを見てみるとオランダには風車が回っていて、すごく穏やかでいい場所だと気づくことができた」
と、そんな記事だったとか。
それを見て奥山さんは最初は
私ならやっぱりイタリアに行きたかったのにと思う。全く知らない世界、全く知らない場所、言葉だって違う。
ガイドブックはイタリアのしか持ってないのに、オランダじゃ不安だらけだもの…
とひとしきり泣いた…という。
でも、そんなところから、徐々に
それはただ、ダウン症のことを知らなくて未知の世界すぎただけで
イタリアじゃなくてオランダかもしれないけど、地続きでいつでも行き来できるし、
むしろ二つの国にお友達ができるってことはすごくラッキーなことかもしれない。美良生くんの成長をサポートしながら、イタリアのお友だちとオランダのお友だちを橋渡しできたら、
とってもステキなことだと思えてきた
と綴るまでに考えが変わったことに、ものすごく共感できたし、よかったなあと思った。
僕も息子に「オランダに連れてきてくれてありがとう」と心底思う
僕は確かに息子がダウン症かもしれないとわかった時、ショックや不安がなかったと言ったら嘘になるけど、
持ち前のポジティブシンキングで、ピンチではなくチャーンス!と思って、
今まで知らなかった新しい世界に息子が連れてってくれるかも!と思ってワクワクすらしたのだけど
過去記事参照
(妻は全然そんなんじゃなかったし、今になってもあの時一緒にショックを共感共有して、
クヨクヨできなくて、ノーテンキな旦那でごめんねと思うけど…笑)
でも、イタリアに着いちゃってたら、オランダのことなんてまるで知らなかっただろうし、
結果イタリアのこともオランダのことも知られたわけだから、
オランダに連れてきてくれて、新しい世界を教えてくれてありがとう!
と息子に言いたいし、
とにかくこんな風に考えるって、何だかいいなあと思って印象に残ったのだ。
その他にも共感する言葉、メッセージがたくさん!
最初の「ごあいさつ」と最後の「第3章 期待はしない。でも希望は捨てない!」は
美良生くんが3歳になった2015年現在の視点でつづられていて、
「第1章 ダウン症の母親になった日」は
主に染色体検査の結果をきいた日のことや、
美良生くんが産まれる前までの長男・空良くんの子育ての話が中心。
(これが僕的に一番凄まじくて印象に残ったけど…)
「第2章 生きてるだけで100点満点!」は
ダウン症の次男・美良生くんの出産当日から7か月目くらいまでの育児日記。
生後7か月で2度の心臓手術、4度の入院を体験しているのだから、
心臓に合併症があるダウン症児は本当に大変そうだ(><)
うちのUくんは幸い心臓や内臓に合併症が全くなかったし、もう2歳になるけど、
まだ1度も入院していない健康優良ダウン症児だけど…。
「自分の子がダウン症」という現実に、
あんなに絶望と恐怖と悲しみを感じていたのに、
今では家族4人、
毎日ゲラゲラ笑いながら暮らしています。
私が特別に強いわけでもなんでもない。
現実は「思っていたよりフツー」だっただけ。
障がいを持った子も
健常の子も、
1人ひとりがみんな違う。
みんな違うのはみんなおんなじ。
そこに不幸はない。
今はそう心の底から思えています。
とか
美良生くんがダウン症だと分かったとき、私なんかにハンディのある子を育てられるのか。私たち家族の生活はどうなるのか…と、不安で押しつぶされそうだった。
でも、実態を知ったら大したことはない。ダウン症児との生活は拍子抜けするほどフツー。育児としては空良の方が大変だったくらいだ。
とか
毎日とても楽しく暮らすことができた。むしろ美良生くんがいるおかげで家族みんなが笑う場面も増えたくらい。
当たり前のことだけど、ダウン症の子を持った家族も、ビックリするぐらいフツーにしあわせになれるのだ。
だけどそれは、育ててみた今だから言えること
とか
中には「えらいわね、私だったら障がい児のお母さんは務まらない。あなただから選ばれたのね」みたいに言う人もいるけれど、それは違う。誰でも障がい児のお母さんになれる。私が特別に選ばれたわけではなくて、たまたま私だっただけ。時間はかかるかもしれないけれど、誰にでもなれる
などなど、特に3歳まで美良生くんを育てた後の、2015年現在の奥山さんの視点や言葉には、僕もすごく共感する言葉がたくさんでてきた。
ダウン症だから特別なのではなく
みんなが自分の子を「特別」だと思うのと同じように、
私の二人の子どもは「特別」。
健常の空良も、障がいを持つ美良生も、
生きてるだけで100点満点です!
ええ言葉。共感!
うちの二人の子どもも、Uくんも娘もどっちも「特別」。大好き!愛してる!!100点満点だあ!!!
ちなみに、うちのママが最初に読む気になった本でもありますよ!ママ達に特におススメ!!
僕はこの2年間で50冊以上もダウン症関連の本を読んじゃったくらいで、続々とむさぼり読んだくらいだけど、
うちのママ、つまり僕の妻は、多くのダウン症児のママ達と同じように?
最初は何も考えられないというか、こうした本を読んでも現実を突きつけられて悪いことしか頭に入ってこないというか?で、
しばらくはこうした本も一切読みたくない…という状態だったけど、
出産して半年以上、へたしたら1年以上後くらいに、ふと「何か読んでみる」と言い出した時に、
何冊かをピックアップして簡単に「こんな本だよ…」と説明したら、この本を選んで読み始めていた。
確かに、ダウン症の子どもを産んだ母の葛藤や、揺れ動きながらも前を向き、
タイトル通りに「生きてるだけで百点満点!」と笑顔で言えるまでになった母の軌跡を、
丁寧に、飾らずに、赤裸々に、リアルに綴った本書は、
うちのママ的にもすごく共感できるし、通づるものがすごくあったんじゃないかなあ?
そんなうちの妻のような、ダウン症児のママさん達にも特におススメの1冊ですよ!!
今後もいろんなダウン症関連の書籍を紹介していきます!
こんな感じで、今後も色んなダウン症関連の本を不定期的に紹介していきますね~~!
詳しくはロードマップを作ってみたのでぜひご参照ください!
なんせ、ネタはすでに50冊以上分ありますからね…(笑)
ちなみにロードマップに載っていない本はまだ読んでいないので、
もしおススメの本などあったら、逆に教えて下さ~い!よろしくお願いします!!
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